技能実習(自動車整備)
人口増加と経済発展が続くフィリピンでは、自動車が急速に普及しています。
そのため、整備・板金職種の経験がある者が非常に多くいます。
特に日本車が人気であるため、日本車の整備・板金の経験者が多いです。
一方で、車検制度は日本独特の制度であり、学ばずに入国しては企業から教育する内容が多くて手こずります。
どれだけ日本語を勉強したところで、入国当初は言葉の壁があるからです。
ミスが合ってはいけない職種だからこそ、入国前の教育が必須です。
そのため、自動車整備職種は技能実習の中でも「特定の職種」と区別されています。
それでは自動車整備職種の技能実習制度について詳しく説明致します。
目次
外国人技能実習制度とは
・1993年に研修制度として始まった制度(自動車整備は2016年4月に追加)
・途上国の青少年を日本企業で雇用し、両国の経済発展に貢献する制度
・一般的に受入れ可能職種に該当する企業様は、協同組合のような監理団体を通じて技能実習生を受け入れる
・入国した実習生は、実習実施機関(受入れ企業様)と雇用関係を結び、3年間〜5年間の技能実習を行う
・政府が許可した職種(80職種144作業)のみ受け入れ可能
▼技能実習生を受け入れる際の仕組み図
技能実習の種類
・団体型(技能実習ロ)と企業単独型(技能実習イ)があります。
海外に支店があるなどの特別な条件がない限り、基本は団体型(技能実習ロ)となります。
・1年目を1号、2,3年目を2号、4,5年目を3号といい、その都度試験、およびビザの更新が必要です。
受け入れ可能人数
・常勤職員の総数に応じて設定されます。
※常勤職員とは、雇用保険加入者となります。
※技能実習生の数は含まれません。
受け入れ体制
技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員の選任
技能実習生を受け入れるためには、技能実習に関する各担当者を選任しなければまりません。
なお、これらは要件さえ満たせば、兼務も可能です。
1.) 技能実習責任者
技能実習の各担当職員の監督および、実習生の受け入れ準備や実習進捗の統括管理をします。
常勤であること、また、3年に1度、技能実習責任者に対する講習を受講しなければいけません。
2.) 技能実習指導員
技能実習生に技能実習を指導する担当者となります。常勤職員で、技能実習を行わせる事業所に所属し、修得等をさせようとする技能、技術及び知識について5年以上の経験が必要です。自動車整備は特別な条件もあるので、その内容は後述します。
3.) 生活指導員
生活指導員は、技能実習生の生活上の留意点について指導し、また技能実習生の相談にのる役割となります。監理団体と情報を共有しながら、未然に問題を防ぎます。常勤であることが必要条件となります。
自動車整備固有の技能実習生の受け入れ要件
受け入れ企業の要件
●事業所の基準
・地方運輸局長から自動車分解整備事業の認証を受けた事業場であること。
※ただし、対象とする自動車の種類として二輪の小型自動車のみを指定されたもの及び対象とする業務の範囲を限定して行われたものは除きます。
●実習指導員の配置
・ 自動車整備に関する経験を5年以上有する者。
・次のいずれかに該当する者であること。
一級又は二級の自動車整備士の技能検定に合格した者
三級の自動車整備士の技能検定に合格した日から自動車整備作業に関し3年以上の実務の経験を有する者
※更に、技能実習3号(就労4~5年目)を雇用する場合は次のいずれかに該当する者であることが必要です。
一級の自動車整備士の技能検定に合格した者。
二級の自動車整備士の技能検定に合格した日から自動車整備作業に関し3年以上の実務の経験を有する者。
実習生の要件
●自動車整備に関する講習受講の要件
通常の技能実習生は入国前後に一定時間以上の日本語教育を受ける義務があります。ただし、自動車整備の技能実習生に関しては、日本語の他に、国土交通大臣が指定する教材を使用して、自動車整備作業に関する基礎的な知識を習得させる講習を受けることが必要です。
ただし、これには講習の時間数に定めがなく、十分だとは言えません。
技能実習生のほとんどは「車検」という日本の制度を知りません。そのため、母国できっちり教育しないと、入国してからの教育コストが高いばかりではなく、万が一事故などあっては取り返しのつかないことになります。
弊社の実習生は自動車整備の実務経験者のみ募集し、フィリピンにて3ヶ月間以上日本の車検制度を勉強した人材のみ斡旋致します。
実習生に運転させられるのか?
自動車整備会社の方が受け入れる際、よく質問される項目です。
結論は、母国で免許を取得しており、手続きさえすれば可能です。
方法は以下2つです。
1.母国で国際免許を発行すれば、有効期限(取得日から1年間)は運転可能です。ただし、その後の国際免許の更新は母国に帰らないとできません。
2.本国での免許証を持ち、日本の免許センターでの試験に合格すれば日本の免許を取得することができます。
ただし、筆記は英語を含む母国語で受験できるので、あまり問題ありませんが、実技は1回で受かることはまずないので、免許センターが休みの日に練習をさせ、3〜5回受けさせる覚悟が必要です。
よくある制度に関する質問
一番点数の比率が高いのは、実習生の試験の合格結果となります。また、法令違反や受け入れている実習生の失踪があると、大幅に減点されるため、優良認定を取得することは難しくなります。優良認定の条件p.14
① 技能等の修得等に係る実績(70点)
② 技能実習を行わせる体制(10点)
③ 技能実習生の待遇(10点)
④ 法令違反・問題の発生状況(5点(違反等あれば大幅減点))
⑤ 相談・支援体制(15点)
⑥ 地域社会との共生(10点)
弊社は、企業が優良認定を取得するためのサポートを致します。
ただし、技能実習計画から逸れた業務に従事させていた場合は、対象外となる場合がございます。受験を検討される際は各地域にある自動車整備振興会に確認する必要があります。
受け入れ方法
特定技能自動車整備と技能実習自動車整備の違いは?
技能実習は国際貢献のため、特定技能は日本の人手不足を補うためにできた制度です。
では、その違いは受入企業にどのように影響するのでしょうか。
●転職の可否
技能実習は3年間は原則転職不可です。原則というのは、例えば企業側に違法行為があった場合や倒産時は転職が可能となります。3号(4,5年目)に移行する時は、実習生や企業から希望があれば、転籍することが可能となります。
一方特定技能は同じ職種であれば、外国人が自由に転職することが可能です。
●外国人の要件
技能実習は上述のとおり、講習さえ受講すれば特段要件はありません。
特定技能は、以下の2つのパターンがあります。
①技能実習を3年以上修了した外国人
②特定技能自動車整備の試験(日本語、自動車整備)に合格した外国人※
※なお、特定技能自動車整備の試験は現在フィリピンでしか行われておりません。
●受け入れ方法
技能実習は送り出し機関と監理団体が業務提携をし、企業に配属するまでをサポートします。また、監理団体には、配属後も定期的な訪問や監査が法律で定められており、良好に実習が行われているか管理義務があります。
一方、特定技能は大きくわけて2つの受け入れ方法があります。
1.企業が手配する場合
海外にいる外国人の場合、海外の人材会社から直接紹介を受け、受け入れ企業が受け入れの手続きをします。
大きく分けると、フィリピン大使館の手続き、ビザの手続き、支援計画の作成、適切な支援体制の構築があります。
「適切な支援体制」とは以下の通り定められています。
事前ガイダンス/出入国の際の送り迎え/住居の確保、生活に必要な契約支援(銀行、ライフライン、役所手続きなど)/生活のオリエンテーション/公的手続きへの同行/日本語学習機会の提供/相談、苦情への母国語での対応/日本人との交流促進/転職支援/定期的な面談、行政機関への通報
2.登録支援機関に委託する場合
もしくは「登録支援機関」の認可を受けている業者に委託をします。
委託する場合は、上記の全ての業務を委託することが可能となり、技能実習同様月額で費用が発生します。
国が定めている受け入れのための手続きは煩雑なため、委託される施設が多い印象です。
●受け入れ人数の制限
技能実習は上記の通り人数制限がありますが、特定技能は上限がありません。
●受け入れ可能年数
技能実習も特定技能も5年となります。
ただし、技能実習の場合、本人と企業が希望すれば、特定技能に移行できるので、合計10年となります。
一方、特定技能修了後は技能実習には移行できません。
どこの国の実習生がいいのか?
弊社はフィリピンをおすすめしております。
その理由は大きくわけて、5つございます。
まず、フィリピンは他の諸外国に比べて圧倒的に人に対する車の数が多いです。そのため、自動車整備の経験が多い若者が多くいます。また、フィリピンは多くの日本車が走っているため、日本車の整備経験があるものも非常に多くいます。また、出稼ぎ大国であるフィリピンは、中東を含む諸外国に自動車整備士として働きに出ていた経験があるものも多く、経験値が豊かです。現実に、弊社で斡旋している人材はフィリピンTOYOTAやSUZUKI、HONDAで働いているものやBOSHなどの人材がほとんどです。
また、近頃では、技能実習生の失踪や犯罪など、トラブルに関するニュースを多く聞きますが、その背景には実習生が抱えている借金があります。フィリピンでは、海外労働は国の3大ビジネスの一つですので、悪質なブローカーがいないことはもちろん、教育費の負担もさせないため、無借金で来ます。そのため、実習生が働くことに集中でき、トラブルも少ないのです。
そして最後は多くのフィリピンの方が日本の事が好きなことです。ただお金を稼ぎにくるのではなく、日本の文化や姿勢を尊重しています。皆様御存知の通り、南国の明るい性格ですから、スタッフも自然と明るくなります。