育成就労制度をわかりやすく解説します!
今回は育成就労を7つのポイントで簡単にまとめました。
目次
ポイント①目的
現行の技能実習制度の目的は国際貢献・技術の移転でしたが、新たに創設される育成就労の目的は人材確保と人材育成になります。特定技能制度については、人手不足分野において即戦力となる外国人を受け入れるという現行制度の目的を維持しつつ、制度の適正化を図った上で継続されます。
技能実習 | 国際貢献・技術の移転 |
育成就労 | 人材確保と人材育成 |
ポイント②転籍 【ARCH plusのポイント‼】
技能実習制度では原則転職は不可でしたが、新制度の育成就労では以下の条件を満たす場合、転籍が可能であるとされています。
•転籍前と同じ業務区分であること。
•転籍前の企業での就労が1〜2年を超えていること。
•技能検定基礎級及び日本語能力試験N5等に合格していること。
•転職後の企業の適正性が認められること。
また、本人都合で転籍を行う場合、転籍前の受入れ機関が支出した初期費用等のうち、転籍後の受入れ機関にも分担させるべき費用については、転籍前の受入れ機関が正当な補塡を受けられるようにするための仕組みが検討されます。
技能実習 | 原則不可 |
育成就労 | 条件を満たす場合は転籍が可能 |
ARCH ポイント!
ARCH plus の過去実績では、97% のフィリピン人材が技能実習2号終了後も3号もしくは特定技能として継続しています。長期雇用が見込めるため、育成や募集にかけるコストが未回収になるリスクが低いので安心です。
ポイント③日本語能力
新制度では、就労開始前に一定レベルの日本語能力(日本語能力試験N 5等又は相当講習受講)が必要になります。介護の場合は、今までと同様、入国時点で日本語能力試験のN4等に合格していることが必要です。
技能実習 | 就労開始前: 6ヶ月以上又は360時間以上の講習 |
育成就労 | 就労開始前: N5レベルの日本語力又は相当講習受講 |
ポイント④受入れ対象分野
新制度では、現行の90職種165作業をそのまま引き継がず、新たに設ける予定です。育成就労制度は特定技能1号への移行を目指すため、就労対象は特定技能制度の特定産業分野に限定されます。これに伴い、就労を通じた人材育成に適さない分野は対象外となる見込みです。また、業務範囲は特定技能の業務区分と同じになる予定であり、農業や漁業などの季節によって稼働状況が変わる分野については、業務の実情に応じた受入れ形態などについては検討するとしています。
技能実習 | 90職種165作業 |
育成就労 | 12分野14業種(予定) +4分野( NEW! ) |
ポイント⑤受入れ人数
新制度における外国人材の受け入れ人数枠は、当面は技能実習1号のルールを引き継ぎ、受け入れ機関の社員数によって決定されます。しかし、新制度では特定技能と同様に、各分野ごとに人数枠の上限が設定され、経済情勢等の変化に応じて適時かつ適切に変更される可能性があります。
技能実習 | 受け入れの常勤職員の人数による |
育成就労 | 分野ごとに受入れ見込数を設定 |
ポイント⑥監理・支援・保護体制 【フィリピンのポイント‼】
育成就労制度では、監理・支援・保護体制が強化されます。組織ごとの主な方針は以下のとおりです。
組織 | 方針 |
監理団体 | 新たな許可要件を設けて厳格審査。不十分な監理団体は許可されません。 |
受入れ機関 | 人材育成と人材確保の目的を踏まえて、要件の適正化や新たな要件の設置。 |
送り出し機関 | 以前は不透明だった支払い手数料を明確にし、不当な高額請求などを行う悪質な送り出し機関に対する取り締まりが強化されます。 |
外国人技能実習機構 | 組織をあらためて、受入れ機関に対する監督指導機能、外国人への支援・保護機能などが強化されます。 |
フィリピンのポイント!
令和3年における技能実習生の失踪者数は7,167人であり、国籍別では、ベトナムやカンボジアなどの失踪者が全体の割合が高く、フィリピンの割合が低い傾向にあります。失踪が相次いでいる現行の制度を適正化する方針です。
フィリピン人技能実習生の最大の特徴は、失踪率が低いことです。低い失踪率の理由として、来日前の費用負担が少ないことが挙げられます。フィリピンでは、送り出し機関への費用を技能実習生が支払うことは禁じられており、借金のプレッシャーやストレスを感じることなく、日本での実習を楽しみながら行うことが出来ます。一方、他の国では技能実習生の募集と日本語教育を行う送出し機関に対して、技能実習生本人が借金をしてその費用を支払うことが一般的です。しかし、今後は技能実習生からの徴収がフィリピンと同様に禁止されると予想されています。
技能実習⽣の負担をゼロとしているフィリピンのシステムは高く評価されており、見本にすべき国でもあると言われています。
ポイント⑦新制度移行のスケジュール
育成就労制度の法案は今国会で成立し、施行は法案成立後3年以内に予定されています。現在の計画では、2027年に施行される予定です。新制度への移行のスケジュールは以下のようになります。
2024年 | 2027年 | 2030年 | |
技能実習 | 継続 | 技能実習制度最終 グループの実習機関 (3年) | 廃止 |
育成就労 | 法案成立 | 新制度施行 (移行期間) | 完全切替え |
まとめ
日本の出生率が年々低下しており、日本の持続可能な社会を築くためには、外国人労働者の活用が必要不可欠となりました。特に建設業、介護、製造業など人材不足が深刻な分野において、その必要性が顕著になっています。
技能実習制度を通じて、41万人近くの外国人が日本で働いており、日本の産業を支えていると言っても過言ではありません。人口減少していく日本を考えると、さらなる外国人労働者の受け入れが不可欠だと考えます。
働きやすい環境を整えることは外国人労働者から選ばれる国になるための一歩ではありますが、異なる言語、文化、風習を持つ技能実習生が長期間安定して働くためには、地域との多文化共生も重要になってきます。地域住民との交流、お祭り、花火大会、ボランティア活動や防災訓練など様々な交流の機会を外国人労働者に提供することで働き続けられる国、選ばれる国へと導きます。
技能実習生の多くが監理団体を通して就業しており、その数は全国に3,500以上あります。しかし、各監理団体のサポート体制には差があり、不十分なところも多くあります。私たちARCH plusでは、今後も常に制度に対して真摯に向き合い、企業様が大切にしたいと思う雇用を作るとともに、フィリピン人材にとっても日本のこの職場を選んで良かった、と思われる環境を作って参ります。
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