介護の技能実習生の日本までの道のり
ここでは、2019年9月に日本にフライトしたレイナさんの事例を紹介します。
目次
今までのキャリアを捨てる覚悟
日本で働くチャンスを手にする前に、彼女はまず今までのキャリアを捨てなければなりませんでした。レイナさんはフィリピンのオリエンタル・ミンドロ州で2年間、民間の介護福祉士として働いていました。その間、彼女は健忘症、脳卒中、糖尿病、その他の病状の患者のようなケースを扱うことを学びました。患者さんの医療ニーズに対応するだけでなく、施設内で患者さんが楽しく過ごせるような生活を送れるようになることも学びました。確かにそれは充実した仕事ですが、それはレイナが別の夢を追求するために諦めなければならなかったことです。
介護の経験を積むことは、レイナさんのような人に多くのチャンスを与えてくれます。フィリピン人はとても献身的で仕事を熱心にすることで知られているので、カナダ、イタリア、イスラエルなど多くの国がフィリピン人介護福祉士に門戸を開いています。しかし、レイナのような自信に満ちた女の子にとって、彼女がキャリアを追求したいと思った国は日本でした。日本で働きたいという彼女の野心は、主にこの国の文化と働く姿勢に突き動かされています。正確に仕事をする人、時間を大切にする仕事仲間、他国籍の人にも礼儀正しい国民と一緒に働く環境を体験したいと思っていました。これらは、日本にはきっとあると確信していました。しかし、ここに来るためには、まず夢の国 ‘Japan’ への準備をしなければなりませんでした。
申し込み
出生証明書、卒業証明書、身分証明書–これらは、レイナさんが日本での就職活動に初めて応募したときに持参した唯一の書類でした。日本語学校の入学試験、そしてそのご企業の面接に合格したのは2018年9月のことです。彼女はこの瞬間をとても喜び、やる気に燃えていたと言います。
たくさんの仲間と過ごすマイホームになった研修施設
海外雇用庁(POEA)の認可を受けた健康診断をクリアした後、レイナはマニラのサンフアンにあるTESDA(フィリピン政府による職業訓練の資格)認定のトレーニングセンターであるYamahei Training and Assessment Centerに出向きました。YAMAHEIは、フィリピン人の中で日本で働くことを希望する学生のための素晴らしい学校だと知られています。(フィリピンの新聞にも優良企業として紹介されました。)YAMAHEIは多くの人にとっては「学校」ですが、レイナはここを「自分の家」と感じるほど、好きでした。ここで多くの日本で働くという目標に向かって勉強している友人たちと出会ったのです。
彼らは、日本で介護福祉士として働くためには、まずN4試験に合格しなければいけません。この試験の目的は、日本語でのコミュニケーションが可能であり、日本の生活や文化についての知識を持っているかどうかを確認することです。
このため、YAMAHEIではN4合格まで3〜5ヶ月間の日本語基礎教育、合格後に1ヶ月の介護日本語教育を受けます。トレーニングセンターには、必要なトレーニング教材が揃っており、プロの日本語教師が常駐しています。
日本語がとても難しいです。でも、先生も周りの仲間も真剣に向き合っているので、辛くありませんでした。みんな住み込みで勉強しているので、食事も一緒です。日本で働く事を想像してワクワクしていました。
3ヶ月で合格した試験
玲奈さんがフィリピン・クリスチャン大学の日本語NAT-TESTを初めて受験したのは2018年12月9日のことでした。レイナは、試験前は本当に緊張していたと言います。ただ、試験問題を見たときには、しっかりと答えられました。これは、すべてのポイントが先生から適切に教えられていたからです。「先生が言っていた通り」と思うと徐々に安心することができ、読解の問題になると、緊張もほぐれ、先生が教えてくれたことをすぐに思い出す事ができました。試験までの時間や解答の復習の仕方などを考えると、自分がきちんと訓練されていることがわかりました。彼女は合格したいと思いながら試験を終えました。
結果が出るまでの10日間、周りの生徒達もソワソワしながら待っていました。YAMAHEIから合格発表を聞いた時、レイナはいつものように勉強に追われていました。合格者リストに自分の受験番号が記載されているのを見たときは圧倒されました。たった3ヶ月の勉強期間で合格したなんて信じられない!自分の忍耐力とトレーニングセンターの忍耐力の賜物だと思いました。
目標だった日本へ
レイナさんがN4に合格したあと、YAMAHEIの日本式介護研修が始まりました。ここでは、日本式の患者さんへの対応の仕方や、特に介護の専門用語を使った日本語でのコミュニケーションの取り方などを学びます。また、YAMAHEIはTESDAの認定評価センターでもあるので、レイナさんは評価に合格した後、NCIIの介護士(フィリピンの国家介護福祉士)の資格を取得することができました。
勉強とトレーニングに捧げた数ヶ月間のハードワークの後、レイナはついに自分の夢を叶える事ができました。みんなと同じように、レイナさんもゼロからのスタートでした。今、彼女は日本語トレーニングの卒業証明書、N4資格、介護NCⅡ資格を取得し、日本での生活を手に入れるチャンスを得ました。彼女は、家族や友人、そしてトレーニングを支えてくれた人たちの助けがなければ、これらの資格を取得することはできなかったと思っています。
諦めたキャリアがあったから今がある
彼女はこの選択をする時、フィリピンのキャリアを諦めました。彼女は大学卒で、フィリピンの中では良い生活をしていたのです。それを捨てる事には覚悟が必要でした。
ただ、あの時日本でのキャリアを追求することができてよかったと彼女は言います。今彼女は、自信と無私の心、熱意とフィリピン人の精神に満ち溢れています。そんな彼女は企業でもとても評価され、他の仲間たちと充実した日本での実習生活を送っています。
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