外国人人材に定着してもらうには?
先日、特定技能2号新設のお話から、「①外国人人材に長期で働いてもらいたいと考える企業」と今まで通り「②3〜5年サイクルで入れ替える予定の企業」に考え方が別れるだろう、というお話をしました。
ブログ:特定技能2号新設!13分野で在留期限が無期限に!
①外国人に長期で働いてもらいたい場合、「外国人人材が定着しやすい会社」である必要が出てきます。
では、外国人人材に定着してもらうためには、どんなことに注意すればいいのか、お話しようと思います。
目次
外国人人材の定着を阻む3つの壁
①文化の壁
ここでいう「文化」は、普段の生活のち外ではなく、主にキャリアに対する考え方を指します。
日本は年功序列の考えがまだ強い国ですが、海外では、成長とともに給料があがるという考えが主流です。(とはいえ、フィリピンの場合、上がり幅はほぼ少なく、かつ給料をあげさせないために、定期的な解雇、雇用を繰り返すこともあるのですが…)
ただ、自己成長を感じているのに、評価が伴わないとモチベーションも下がってしまいますよね。
これは日本人も同じことだと思います。
コミュニケーションの壁
業務の進め方について、言葉のハードルがある分、正直面倒に思うスタッフも少なくありません。
「1回説明したでしょう」「先輩外国人に聞いて」など、せっかく質問してくれたのに雑な対応となっていないか、確認しましょう。
こちらが「面倒」と感じていれば、それは相手にも伝わるものです。
また、配属に関するコミュニケーションのありかたも同様です。
配置転換が起こった際、なぜその配置転換を起こったかまで説明してあげてください。
意外とよくある例が、仕事中のどこかで、外国人だから差別されている、と一度感じてしまうとトラウマになり、「私が外国人だから、この仕事を任されてるんだ…」などとマイナス思考で考えてしまうようになってしまうことがあります。
③職場環境の壁
外国人材を採用する際に、経営者、マネージャー層だけではなく、社員全体に採用の目的、今後の方針などは伝わっていますでしょうか。
これがなされているかどうかで、スタッフの外国人に対する対応が変わってきます。
いくら、経営者側が外国人材に長期で働いてもらいたいと考えていても、実際に職場で接する職員が「どうせ短期の出稼ぎでしょ」という態度を取ってしまっては定着するはずがありません。
また、当たり前のことですが、採用時に会社のありのままの姿(場所、社風、業務内容)を伝えられているか、よく見せてしまっていないかも確認してみてください。
もし、あなたの会社に合わない人材だとすれば、「入ってみたら違った」、で辞められてしまうより、最初から辞退された方が、よほど効率的に御社にピッタリな人材に出会えると思います。
④職場の人間関係の壁
外国人が日本にきてネガティブに感じる点でよく挙げられることが、以下です。
・仕事上で別人のように変わる、食事に誘ってもらった時にどうやってコミュニケーションをとっていいかわからない
・日本人は仕事に関係ない話をまったくしないので、仲良くなれない
・日本人の建前と本音がわからない
思い当たる節がある方も多いかと思います。
日本人はその真面目さゆえに、仕事中は気持ちを切り替えて、厳しくなる傾向があります。
それは日本の文化の良いところですが、人間関係ができていないままこれをしてしまうと、仲良くなるきっかけを失います。
(参考)(独)国際交流基金
⑤外国人の気持ちの壁
最初から、「出稼ぎとしか考えていない」、そうゆう人材もいるでしょう。
そのような人材を採用しないこともとても大事です。
ただ、面接で聞くだけでは、うま〜く「日本の◯◯が好きです」「◯◯がしたくて日本を選びました」「できるだけ長く働きたいです」など、嘘をつく候補者もいます。
そうならないように、誠実な送り出し機関とお付き合いする必要があります。
(送り出し機関は監理団体に紐づくので、誠実な監理団体とお付き合いする必要があります。)
企業だけで言葉や時間の制限が多い面接で見極めることは非常に難しいです。
監理団体や送り出し機関に積極的にアドバイスを求めることをおすすめします。
なお、フィリピンではただの出稼ぎであれば、英語が通じる他国を選べる中で、日本を選んでいるのは、日本が好きで、日本に興味があるから、日本にずっといたいから、という候補者が多くなっています。
定着してもらうために大事なこと
上記の「定着を阻む壁」に対処することはもちろんですが、何より一番大事なことは、
「心の距離を縮めること」
です。
外国からきた彼ら、彼女らにとって、職場は最初のコミュニティです。
職場でのコミュニティがうまく作れなければ、地域のクラブチームやボランティア団体など、日本人とのコミュニティに入っていくことはほぼありません。
日本人のコミュニティに入ることが怖くなったり、面倒になったりしてしまうからです。
相談できる職員がいる環境の構築ができているか、
会社全体で、長期で働く仲間という意識ができているか
今一度確認してみてください。
また、人間関係ができていると、学習意欲に繋がります。
「日本語を勉強しない」のは本人だけの問題ではなく、「日本語を勉強したいと思う環境がない」ことにも問題があります。「話したい」と思う相手がおらず、「ただの出稼ぎ」という認識では、数年のために一生懸命難しい日本語を勉強しようとは思わないでしょう。
※もちろん、出稼ぎ気分であろうとも、日本で働くからには仕事で必要な日本語を勉強するのは義務なんですけどね。ただ、気持ちの問題もあるという意味です。
採用で間違った人材を選ばなければ、外国人材の働く意欲は高いことが一般的です。
異国で働くというハードルを乗り越えて来るのですから、当然でしょう。
彼らが入国前に持っていた日本への期待、希望、学びたいという気持ちを維持してもらうために、日本人にも努力が必要です。
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